今日は蟲の呼吸 ~胡蝶しのぶ編~です。
胡蝶しのぶとは
鬼滅の刃に登場する女性剣士で、可憐な見た目とは裏腹に鬼殺隊の最上位である『柱』の一員でもあります。本人曰く、『柱の中で唯一鬼の首を斬れない剣士』というだけあり、腕力はさほどありませんが、薬学の知識に精通しており、独自に生成した藤の花の毒により、鬼を滅殺します。
胡蝶しのぶと同じ名前を持つ技
今回、管理人が紹介するのは
信夫(立業之部 5本目)
”のぶお”ではなく、”しのぶ”と読みます。
しのぶつながりかい
では、胡蝶しのぶと“信夫”との知られざる関係についてみていきましょう。
異質だらけな技“信夫”
別名、夜之太刀と呼ばれる“信夫”です。暗闇の中、前方から接近する敵の姿を確認した私は抜刀しつつ、左の物陰に身を潜め、刀の先で地面を打ちます。何事かと動きを止めた敵を真っ向から斬り下して勝ちます。
想定だけ見ると技とはいいがたいですね。
どちらかというと『忍ぶ』という方がしっくりと来ますね。
現に管理人も『忍』の当て字であると思っていました。
名は体を表す
居合の技名はその技の本質を的確に表現しています。
例えば
壁に挟まれた:壁添
追いかけて斬る:追風
着物の袖を擦る:袖摺返し
であるならば『信夫』ではなく『忍』ではないでしょうか?
なぜ、『忍』ではなく、『信夫』なのでしょうか?
信夫をネットで検索すると
1 福島県の地名
2 人名
残念ながらそれ以外の意味が出てきません。
現在では意味を持たない『信夫』ですが、江戸期にはとある意味を持っていました。それは…。
仇討ちです。
胡蝶しのぶの登場で現在にクローズアップされる女剣士“信夫”
1723年(享保8年)、百姓の娘が侍に仇討ちするという事件が発生。これはのちに姉妹の名を取り「宮城野・信夫の仇討ち」と題され、歌舞伎や浄瑠璃にて市民の知ることとなります。
鬼滅の読者なら察しのことと思いますが、胡蝶しのぶにもカナエという姉がおり、鬼殺隊に入隊する動機も両親を殺害された鬼への復讐です。
技の命名時期は不明ですが、江戸後期にはすでに“信夫”が庶民に知れ渡っており、今ほど技名に違和感を覚えなかったのではないでしょうか。
「せんせい、その技はなんという名前ですか?」
「信夫と言います」
「今、流行りの奴ですね。なかなか、お洒落ですね」
なんて会話もあったのではないか。と一人想像してみます。
真実はどうかわかりませんが、その当時のことをあれこれと想像するのは楽しいものです。
これを機会に『鬼滅の刃』から居合へ、居合道経験者は『鬼滅の刃』を見ていただければ幸いです。
■鬼滅の刃 無限列車編公式サイト
https://kimetsu.com/anime/
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