制定居合研究会~9本目~添え手突き

九本目『添え手突き』

 制定居合12本の中でも最高難易度を誇る技です。

 前進中、左の敵の殺気を感じ、機先を制して、右袈裟に抜き打ちし、さらに腹部を添え手で突き刺して勝つ。

 2歩目で刀に手を掛け、左の敵に振り向くと同時に刀に手を掛ける。

 さらに右足を半歩踏み出し、右足を軸に、敵に向き直りながら、左足を引くと同時に袈裟に抜き打ちする。

 右足をやや引いて『添え手突きの構え』を取り、間を置くことなく左足を踏み込むと同時に突き刺す。

左側の敵を斬る難しさ

 この9本目を難しくしているのは敵が左側にいることであろう。

 居合は左腰に刀を帯び、右手で抜いて行く以上、必然的に刀の軌道は左から右の時計回りになる。

 だから左の敵を斬る場合は一度身体を90度左に反転しなければ敵を斬ることはできない。

 一方、敵からすると我は右側に位置するため、極端な話、その場にいても我を斬ることができる絶好の立ち位置にいるのである。

 この絶対的に不利な状況からいかに逆転するかが9本目の課題であり、最大の難関であると言える。

イラストについては新紀元社の『剣技・剣術説』(牧秀彦著)を参照しています