八本目『顔面当て』
前進中、前後二人の敵の殺気を感じ、まず正面の敵の顔面に「柄当て」し、続いて後ろの敵の「水月」を突き刺し、さらに正面の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。
①右足から前進し、2歩目で両手を刀にかけ、3歩目で相手の眉間に柄頭を当てる。
柄当てについては4本目と同じであるが、場所が眉間である点で4本目より高い。ちなみに眉間は人体の急所であり、殴られると激痛が走り、失明につながる恐れがあり大変危険です。
②直ちに後ろの敵に振り向きながら「鞘引き」をし、間を置くことなく、「水月」を「突き刺す」
重要な点が多いですが、初心者用に教本の教えを大きく省いて説明します。
・先に後ろを振り向く(4本目と逆)
・鞘離れ時、刀を上腰にとり、身体から離さない。
・後方の敵に向かう時は身体は正対(斜めになってはいけない)
③正面の敵に振り向き、間を置くことなく右足を踏み込み真っ向から切り下ろす。
体捌きが重要
どうしても豪快な振りや突きに目が行ってしまいますが、居合の基本は下半身。特に8本目は後ろを振り返ってから突いたり、斬ったりと動きが多く、足運びや体の運用など守らなくてはならないポイントが多数存在します。
体捌きは一見すると何をやっているかわからないことも多く、軽視しがちですが、一度覚えてしまうと他の技にも転用することができますし、コロナ禍で稽古が自粛されている現在では自宅でも場所を取らずに稽古することができます。
イラストについては新紀元社の『剣技・剣術説』(牧秀彦著)を参照しています